着物は羽織やコートや帯に仕立て直しできます。ですが長羽織分の衿の長さは着物にはありません。そこで衿を途中で継がなくてはなりません。また着物には内揚げがあるのでそこに筋がくっきりついていたり、変色していたりすると羽織やコートには厳しいです。
仕立て直しは素敵だと思う
まず初めに私のスタンスですが、衿に継ぎが入ろうと、袖に継ぎが入ろうと仕立て直しはとても素敵なことだと思っています。さらに言うと新反で羽織を作るよりも実は仕立て直しのほうがなんかワクワクするんです。何でですかね・・。
昭和の後半くらいから継ぎのある羽織はお古の仕立て直しみたいな・・簡単に言うとあまり良いイメージをもたれなくなったようです。まあ、着物を着る人が減って、お金持ちの道楽みたいになったからかもしれません。
ですのでこれは気になる人には気になる点かもしれませんので書いておきます。
着物から羽織を作るときの注意点
そもそも似合うのか?大好きなのか?が仕立て直しするときの大原則ですが、その他に・・・
- 長羽織は衿に継ぎができる
- 裄の長い人は昔の着物であれば裄が足りなくなることがある
- 内揚げの折れ線が目立つ場合がある
などがあります。細かく見ていきましょう。
1.長羽織は衿に継ぎができる
これは構造上仕方がないのです。普通は天継ぎと言って衿の真ん中(背中心)で継ぎます。呉服屋さんによっては「仕立て直しものだとわかっちゃうからねぇ・・お勧めしません。」という方もいます。
私は高級なお店などに行きませんし、仕立て直し物だとわかられてもそんなに気になりませんが、『継ぎ』を『かけ衿』のようなデザイン的なモノにしてもらっています。
2.裄の長い人は昔の着物であれば裄が足りなくなることがある
昔の反物は36㎝以下のものも沢山ありました。私のように袖幅が34㎝ですと着物ならぎりぎり仕立てられますが、羽織やコートの袖幅は出ません。(着物の袖幅より長く仕立てます。)ならば、これも継いじゃえばいいわけで、デザイン的に別布で継ぐのも素敵です(費用は上がっていくと思います)。
3.内揚げの折れ線が目立つ場合がある
これは生地次第なのですが、洗い張りしてもうっすら見えるものや割としっかり見える場合もあるかもです。これは解いてみないとわかりません。
気になることがある場合は撤退しましょう!
上記が苦手かも・・と思う方は仕立て直しではなく新反お仕立てが絶対いいです
これは本当に大事なことです。なんかダサいかもと思ったら着られなくなります。仕立て代は数万円します。とことん考えて自分のよきものを探しましょう。
特にお母さんの着物だから、おばあちゃんの形見だから・・だけでの、仕立て直しはやめたほうがいいです。(経験者です、すべてが悪かったとは思ってないですが。)
全て納得したうえで解いた状態を確認してから仕立て直しのゴーサインを出しましょう。(例えば、内揚げの筋が強く残ったら報告してください・・とか言っておけばお任せでも安心ですよね。)
私の羽織をお仕立てしてくださっている和裁士さんのご紹介
新ブログになってからご紹介していなかったかもしれません。
私はブログ村にもいらっしゃる
「仕立て屋*おおわたり」の大渡留美子さんにお仕立ていただいています。
先ほどの衿継ぎだけではなく、マチなしで脇にスラッシュポケットを付けたり袖の形を変形させたりいろんな創意工夫をした羽織を縫ってくださっています。
私は数年前おおわたりさんブログの長羽織に「この羽織はすごいなあー!」と、感銘をうけましてお願いすることにしました。衿の継など非常に難しいようです。
初めに考案された和裁士の先生は
そして、はじめにこの長羽織を考案された先生は
の仁井 永枝(にい ひさえ)先生です。1985年全国和裁技術コンクール最優秀賞を受賞されて「ひさえ紐」の考案で有名な方です。
ぜひぜひ、ホームページなどもごらんくださいませ。
こちらの長羽織をご自分で縫われたい方は仁井先生に必ずお問い合わせをお願いいたします。長いお時間をかけて考案された羽織です。ぜひ、簡単に真似なさらず先生のお名前を出して発表してくださいませ。
次回仕立てる着物は、仕立て直しやすいよう工夫していただきました。
思い付きでおおわたりさんに実験としてお願いいたしました。
- 着物の衿を長羽織の寸法で裁断して織り込んでもらう
- 内揚げをつけない
シルクウールの着物なのですが、数年着たら羽織に直して着てみたいので、どうなるか実験です。(こんなことをしなくてもきれいに仕立て直しをしていただいているのに、ついやってみたくなりました。)大渡さんがノリノリなのがありがたいです。楽しみです!!
以上、着物から羽織への仕立て直しの注意点などでした。素敵な着物生活となりますように♡
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