池田重子さんの思い出

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アンティーク着物の収集家池田重子さんのファンは全国にたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?もうずいぶん前に亡くなられましたが、そのコレクションのすばらしさとご本人のお人柄で一時代を築かれた方ではないでしょうか?
私は20代のころに数枚の着物を作りましたが、ほとんどが池田さんのところででした。


池田重子さんは2015年に亡くなられましたが着物のデザイナーでありアンティーク着物や帯留めなどのコレクターでした。

20代の時習い事のお稽古着を買うため、着物雑誌などから情報を得て何軒かのアンティーク着物のお店や古着屋さんを見て回っていましたが、一番楽しかったのは池田屋さんでした。

古ぼけた古着ではなくアンティークの良い着物や小物があって目を楽しませてくれたからです。美しい簪や帯留めは眼福でした。


で、池田屋さんに行って「お稽古用の着物が欲しい」と見立てていただいて縞大島を買ったのです。↓

池田さんはその日おひとりでお店番をされていまして、棚にころっとあった鮫小紋の反物に目をとめて「これお安いけどいいものよ。あなたに似合うわよ」と何げなくおっしゃいました。

雑誌情報から有名な店主らしいくらいのことは知っていましたが、その日の池田さんは黒っぽい着物の上に、紫根染の羽織を着て、アンティークの帯留めを していらして、それはもう、素晴らしく素晴らしく美しくて、私は圧倒されていました。


そんな方に「あなたに似合うわよ。」と言われて、もうすっかりその気になってお仕立てしてもらった江戸小紋です。

いくらだったか全く覚えていないのですが「やってしまった」記憶がないので裏や仕立ても含めて、相当お安くしてくれたのではないかと思います。

洒落紋というのでしょうか・・

「こういうの、つけてみる?」とおっしゃられ、一緒にあれこれ刺繍を選ばせていただいて・・着物って楽しなーと思った第一歩でした。

実際着用して、これが背中にあると、お洒落でずいぶん周りの方に褒められました。


そう何度も通ったわけでもないと思うのですが、

本物の結城の当時50年くらい前の反物を「触ってごらんなさい。こういう手触りよ。もう、なかなか出ないから」と言ってくださって、 ビビりながら触らせていただいたことなど懐かしい思い出です。

数回しか買い物に行ってない、本場結城など、買いそうもない私のようなお客に、誠心誠意お優しかったことも池田さんの人気の所以だったんでしょうね。

そういえば、今思い出したんですが、「半衿に使いなさい」と何枚も白い正絹の端切れをくださったこともありました。

嬉しかったです。大切に使っていました。


池田さんはじめカリスマの方に共通する特徴ですが、有名な方なのに「あれ?私のこと気に入ってくれているのかな?」と思わせてくれるところがあります。誰だってそう感じさせてもらったらうれしいじゃないですか?また、池田さんに会いたい、池田さんのところに行って買いたいって思えますよね。

私も、誰にでも優しく接せられる、そんな人になりたいなぁと思います。

よく言われることですが、今いる人や今やっていることに集中するって本当に大事なんだなとあらためて思います。

人生まだまだ長いわ、がんばります。


池田さんがお亡くなりになった後、展覧会で買い求めた半衿です。

紫の江戸小紋にも合うかもしれないなと思います。

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